休眠預金を地域振興に 資金分配団体「まず知って」 奄美市でフォーラム

2023年12月06日

社会・経済 

休眠預金活用制度について学んだ集会イベント「ソーシャルビジネス☆次世代フォーラム」=5日、奄美市名瀬

使われなくなった預貯金を地域振興に生かす国の休眠預金活用制度について学ぶ集会イベント「ソーシャルビジネス☆次世代フォーラム」(奄美市など主催)が5日、市役所であり、市内で活動する企業・団体関係者ら20人余りが講演や討論を通じて理解を深めた。同制度で資金分配団体を務める一般社団法人SINKa(シンカ)の濱砂清代表理事は「鹿児島は先行事例が少ない。まずは知ってほしい」とし、制度の仕組みや利点を伝えた。

 

休眠預金活用制度は、2009年1月1日以降最後の取引から10年以上が経過した普通・定期預金や貯金、定期積立金などについて、社会課題解決や民間公益活動を促進するために活用するもの。18年の関連法施行に伴い、19年度から始まっている。

 

フォーラムは冒頭、SINKaの濱砂代表理事が同制度の概要や創設された背景、全国の活用事例などを紹介。事業採択や資金分配の流れにも触れ「巨額の資金調達が望める分、実行事業の公益性などは厳しく審査される。実行したい(している)事業の概要や将来的な目標、社会的意義を常に意識しているかが問われる」などと助言した。

 

休眠預金活用制度の実行事例として、2団体が取り組みを報告。長崎県対馬市で持続可能な森林資源活用に取り組む一般社団法人MIT(ミット)の吉野元代表理事は、荒廃した森林環境の回復を図る中で関係者の連携が深まり、活動の幅が広がったとし「人件費にも使えるのが休眠預金活用制度の特長。事業者としての成長も後押しされる」と実感を述べた。

 

奄美市名瀬のNPO法人フリースクールMINE(マイン)の林花穂代表理事は、応募した「デジタルで繋(つな)ぐ・繋がる子どもの居場所事業」が採択されるまでの経緯を説明。「地域の現状や課題を的確に把握し、何をすべきかを明確に言語化する必要性を突き付けられた。苦労したが、団体運営や活動に対する意識が高まった」と語った。

 

事例報告後は参加者全員参加のワークショップがあり、それぞれが思う地域の課題や解決に向けた活動などについて情報交換。SDGs(持続可能な開発目標)の考え方も重ね合わせるなどし、奄美での休眠預金活用推進の可能性を探った。